2011-10-23

「原発で日本のロボットが迷子に」との報道がありましたが

10月22日朝日新聞の朝刊の記事に「原発で日本のロボットが迷子に」とありました。

以前、大学で開発されたロボットを原発事故現場意に導入とあったので、心配していました。

以前にも書きましたが、大学で開発されるものは原理確認のものであり、現場で使え製品レベルするには、多くの工程(きめ細かな異常系ソフトウェアの組込み、現場試験、過負荷試験、連続試験、商用試験などの工程)を経ることが必須です。

この辺りのことがどの程度、今回導入されたロボットでは行われていたのか報道して欲しくなります。

以前BS8のプライムニュースでロボットの専門家が3人ゲストで出演されて、国産ロボットが何故原発事故現場に導入されないのかお話になられておりましたが、東工大の教授が一寸分りにくい表現ながら、大学で開発したものは製品とは異なるとの趣旨の発言がありましたが、全体的には市場がないから、予算が米国に比較して少ないからのようなことで展開されておりました。

最近も中央公論2011年7月号に

『なぜ、国産ロボットは3・11に稼働しなかったのか』(田所 諭)
の論文が掲載されておりましたが、この中でも本質的な研究・開発・製品化の工程からその原因を言及しておりません。

あいかわらず、わが国では市場がない、米国のように軍が多くのロボットを現場で使ってくれる状況にないからのような主張をされているのには、ただただ驚くばかりです。

マスコミの方々も分かっているのか、突っ込めておりません。

つまり、大学であっても開発するロボットが現場で使えるようなレベル(製品レベルに近いもの)のものであるようにするなら、必ずしも研究発表できないレベルまで稼動なり、予算なりを割かないとならいのです。

そこまで覚悟ができるかが問われているのです。

もしもそこまで覚悟ができないなら、開発したと言わずに原理確認したと発表すべきです。

メーカーでは研究者と開発者は所属も異なり、研究者は原理確認のための装置の開発と実験を、開発者は研究者が確認した原理を元に製品にするためにきめ細かなソフトウェア(プログラム)を開発し、現場・過負荷・連続試験を行って成果レベルまで持って行くことをしているのです。

この辺りのことがどの程度されているロボットが原発事故現場に持ち込まれたのか、マスコミの方々に一度確認していただきたいと思うのは私一人でしょうか。

いままでの新聞、雑誌、テレビでの報道では分らずじまいです。