唐招提寺の修復の報道があったと思います。
明治時代の修復に,日本の建築には無かったトラスが導入されていることが解体のなかで分かったそうです。
今回の修復でもそのトラスが除去されることなく,活用される判断がされたようです。
近代技術で修復することは他の分野でも行われており,とやかく言うことではないとは思います。
しかし,修復の報道のなかで,それを行った大学の専門家は欧州に留学した士族のようです。
その専門家は留学先の教授から幾度となく「日本の建築について知っているのか」と言われた時に何度も「知らない」と答えたとのことです。
どこまで本当かは確かめようがありませんが,そうだったのではないだろうかと推察されます。
明治維新に活躍された人材はほとんで士族で,しかも下級士族です。
下級といっても差別しているわけではありません。
地位についていない士族が明治維新の中心となった人材だったと思います。
それを考えますと,今で言う教養はあまり期待できなかったのではないでしょうか。
日本の建築様式や建築技術など。
ここで仮説ですが,明治維新で建築の世界でも江戸後期まで築き上げてきた建築様式が見直されることなく,捨て去れて来たと考えるのは考えすぎでしょうか。
戦後に高層建築がすばらしいことのように感じるわれわれを作り上げてきたのも,その辺りに通じることのような思えてならいのですが,いかがでしょうか。
もう一度われわれの住まいの建築様式を見直すことが必要な時期に来ていると思うのですが。